染色体に似た構造をシアノバクテリアの一種で発見し、低温超高圧電子顕微鏡を用いて解明(教育学部 金子康子教授 共同研究)
2016/10/24
自然科学研究機構 生理学研究所 村田和義 准教授と埼玉大学 金子康子教授の共同研究グループは、光合成を行うバクテリアの一種である「シアノバクテリア」が細胞分裂の際に作る染色体に似た構造体を発見し、その詳細な構造を特殊な低温超高圧電子顕微鏡を使って世界で初めて明らかにしました。
本研究結果は、日本時間2016年10月12日にScientific Reports誌オンライン版に掲載されました。
概要
生物は大きく核を持つものと持たないものに分けられます。私たちの細胞は核をもち、細胞が分裂する際に核が消えて染色体という構造になり、新しく生まれる2つの細胞に均等に分配されます。一方バクテリアは核を持ちません。細胞が分裂する際にも、染色体のようなはっきりとした構造体はこれまで確認されていませんでした。
今回、生理学研究所の村田和義准教授と埼玉大学の金子康子教授らの研究グループは、シアノバクテリアという光合成をするバクテリアの一種が、細胞分裂する際、染色体に似た構造を作ることを発見しました。そしてこの構造体を、分裂する直前の細胞を急速凍結することで捕まえ、低温超高圧電子顕微鏡という特殊な顕微鏡を使って詳細にその構造を明らかにすることに、世界で初めて成功しました。
分裂時シアノバクテリアが示す染色体状構造の低温超高圧電子顕微鏡解析
(赤がチラコイド膜層、青がDNA、黒と黄色の粒子がポリリン酸体)
シアノバクテリアが示す染色体状構造
ポリリン酸体からうず巻き状にDNAが作られてくる様子(矢印)
詳しい研究内容について
染色体に似た構造をシアノバクテリアの一種で発見し 低温超高圧電子顕微鏡を用いて解明
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