高い立体特異性をもつ極性ポリオレフィンの合成に成功-新しい高分子素材への展開に期待-(大学院理工学研究科 中田憲男助教?石井昭彦教授研究グループ)
2016/7/11
ポリオレフィンは、プラスチック製品や包装材料などに利用されており、私たちの生活に不可欠な高分子材料です。近年、ポリオレフィンに接着性、相溶性ならびに着色性等の物性発現が期待される極性官能基を導入した極性ポリオレフィンの合成が注目を集めています。一般的な極性ポリオレフィンの合成法として、ラジカル重合やアニオン重合が挙げられますが、これらの重合法ではポリオレフィンの融点や結晶性に関連する諸物性である立体特異性の制御は極めて困難であり、これまでに報告例は皆無でした。
今回、本学大学院理工学研究科 中田憲男助教、石井昭彦教授らの研究グループは、独自に開発した配位子を有するジルコニウム錯体を活用することで、これまでの重合法では未踏であった極性モノマーの立体特異的重合反応に初めて成功し、対応するイソタクチックポリマーの生成を達成しました。さらに、合成した極性ポリオレフィンの官能基変換反応から、新たな極性官能基が導入されたポリオレフィンの生成を見出しました。
本成果は、2016年5月31日に、Wiley-VCH社が刊行しているMacromolecular Rapid Communications誌のオンライン速報版として公開され、2016年12号(2016年6月16日発行)にその研究内容がBack Coverで紹介されました。
図 ジルコニウム錯体2bを用いて初めて達成された極性モノマー4のイソ特異的重合反応
【参考】