キルトワークショップを通してSDGsを学ぶ ―人文社会科学研究科 野村奈央 准教授
2023/5/11
本学大学院人文社会科学研究科 野村奈央 准教授が日本万国博覧会記念基金事業の助成を受けて開催した「SDGs キルトワークショップ」を紹介します。
1970年に開催された日本万国博覧会は、日本におけるキルトの発展に大きな影響をもたらしたと言われています。当時は女性の就業率が5割に満たず、社会とのかかわりが少なかったのですが、万博でキルトが紹介されたことで、多くの女性が日本で生活をしつつ北米の文化を学ぶきっかけを得られました。このワークショップは、今日まで続く万博とキルトの功績をSDGsの視点から再解釈することで、環境問題や持続可能な社会を実現する手段としてのキルト制作を目指したものです。
本ワークショップは、古布などの材料をアップサイクルするアーティストとしてグローバルに活躍するAi Kijima氏、武蔵野福祉事務所、International Quilt Museumの協力を受けて、東京都武蔵野市内の障害者地域生活支援ステーション「わくらす武蔵野」にて、2月13日(月)、15日(水)、17日(金)に開催されました。
1日目と2日目にはキルトのテクニックを使ったコラージュや、異なる素材をパッチワークする技術を学びながらキルトのブロックを作り、最終日にはキルトブロックをつなげて、共同でクレイジーキルトを作成しました。
キルト制作には、武蔵野福祉事務所の利用者が制作と販売を行っているブランド「つむぐと」に携わる方々や、地域住民の方々を始めとする約90名の方々が参加しました。制作したクレイジーキルトは、2月24日(金)~3月15日(水)まで、ギャラリー?カフェ?スタジオ Janus Creationにて展示されました。
野村奈央准教授のコメント
現在、私は、International Quilt Museumの学芸員であるMarin F. Hanson氏と共に、日本におけるキルトの発展の歴史を調べる共同研究に取り組んでいます。女性の社会参加が限定されていた時代に、キルトが女性と社会と架け橋になったと経緯を調査することで、現代でもキルト制作を通じて多様性を尊重する社会を構築するきっかけを作ることができるのではないか、と考え、このようなワークショップを企画しました。
できあがったキルトのブロック
ブロックをつなげてキルトを制作
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