埼玉大学研究シーズ集2022-23
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57キーワード拡張現実(AR)、光学的整合性、人工知能(AI)、ニューラルネットワーク、深層学習、敵対的生成ネットワーク(GAN)モバイル端末の前面カメラで撮影した画像を外挿し、360°のパノラマ画像を生成することで、金属物体への周囲環境の映り込みを再現する。与えられた背景画像と仮想物体の法線画像のみから光源情報を暗黙的に推定し、物体の反射と影を再現する■?研究概要拡張現実(AR)は現実空間にデジタル情報を重ねて提示する技術のことで、ポケモンGOなどのスマホアプリでも使われています。たとえばカメラ画像にCGキャラクターを重ねて表示することで、そのキャラクターが現実世界の中にいるような映像を生成できます。このとき、現実世界の光源環境を反映させることで、より違和感のない表現が可能となります。我々は近年発展が著しい人工知能(AI)技術を用いて、限られた情報から現実世界の光源環境を推定し、仮想物体の影付けや周囲環境の映り込みを実現する技術を開発しました。この研究の面白いところは、敵対的生成ネットワーク(GAN)という画像生成の技術を利用していることです。GANは生成器と識別器を同時に学習させるニューラルネットワークで、本物と見分けがつかない画像を生成することができます。この技術を使うことで、たとえ完全な推定ができない場合でも、少なくとも人が見て違和感がない映像を生成することができます。■?産業界へのアピールポイント●GANを用いた画像生成技術は、AR以外の実用的な画像処理にも応用できます。●これまでの画像処理では難しかったこともできるようになる可能性があります。■?実用化例?応用事例?活用例●なし小室?孝(コムロ タカシ) 教授大学院理工学研究科 数理電子情報部門 情報領域【最近の研究テーマ】●動画像からのジェスチャ認識●ハンドヘルドカメラを用いた簡易反射特性計測●魚眼カメラを用いた非接触?三次元ユーザーインターフェース●多人数操作可能なデジタルサイネージ●頭部装着プロジェクタを用いたウェアラブルARシステム人工知能が現実世界を違和感なく拡張する

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