◆埼玉大学創立70周年記念事業◆「第2回リベラルアーツ研究セミナー「拙書『二代目市川團十郎の日記にみる享保期江戸歌舞伎』の成立と内容」を開催
2019/6/17
6月7日(金)、教養学部で開催された第2回リベラルアーツ研究セミナーで、ビュールク?トーヴェ准教授が講演を行いました。
「拙書『二代目市川團十郎の日記にみる享保期江戸歌舞伎』の成立と内容」と題し、2019年2月に出版されたビュールク准教授の初めての書籍『二代目市川團十郎の日記にみる享保期江戸歌舞伎』の内容を、かいつまんで解り易く解説しました。2014年に科研費「学術図書」に初めて申請されて以降、5年の歳月をかけてようやく刊行された労作です。
江戸歌舞伎は、享保期(1716年?1735年)に大きく発展したと言われていますが、当時の資料は少なく、これまでその実態は明らかにされていませんでした。しかし、まさにこの時期に書かれた資料として、二代目團十郎の日記があることがわかり、ビュールク准教授は本日記の解読を進めてきました。
その研究結果をもとに、享保期江戸歌舞伎の芸態論として二代目團十郎の読書体験が及ぼす演技?演出への影響、開帳興行と不動明王の演技?演出の関係、もぐさ売りを中心にした宣伝の演出と『助六』と喫煙の演出について、また環境論としての享保期江戸歌舞伎の劇場経営について、森田座の休座と控櫓による河原崎座の旗揚げについて、そして享保期の芝居茶屋と江戸歌舞伎の観客について、一冊の書籍としてまとめました。
これらの成果により、享保期中、江戸では歌舞伎劇場を中心とした商業圏が形成されたことが明らかになりましたが、今後は身分によらず誰でも利用できる公共圏として、歌舞伎劇場を位置付ける試みを進めていく予定です。
当日は教員だけでなく学生も多数参加し、劇場の経済状況と商品の宣伝の関わりや、絵画に描かれた顔や服装をひとつずつ確認した観客層の分析についてなど、活発な質疑応答が行われました。
当日の様子
講演するビュールク准教授
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