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留学体験記

留学体験記一覧:スウェーデン

2期生 柳谷 直治

留学国
スウェーデン、地域リンショーピン、大学名リンショーピン大学、学部Faculty of Arts & Sciences、学科Business
留学テーマ
スウェーデンから学ぶ、日本伝統工芸の再興術
留学期間
2016年8月~2017年6月
費用

200万円

奨学金の種類

トビタテ!留学JAPAN 月16万円

履修内容(メインで勉強した科目等)

Business、Marketing

課外活動(クラブ活動、インターンシップなど)

インタビュー、テストマーケティング

学んだこと、身に着けた力

体験?感想

留学テーマについて

北欧デザインから学ぶ日本伝統工芸の再興術

「スウェーデンから学ぶ、日本伝統工芸の再興術」というテーマで留学したお話とそれに至った経緯についてご紹介させて頂きます。入学当初の私は、「経営の勉強>英語」でした。「経営の勉強と英語もできたほうがいいかな?」と考えていたため、本気で留学に行きたいなんて思っていませんでした。そんな私が「留学したい!」と思ったのにはあるきっかけがあったのです。

私が伝統工芸に関する活動を始めたのはGT生から構成されたプレゼミがきっかけでした。

大学1年の前期。GTPメンバーで構成されるゼミ形式の授業でフィールドワークをすることになり、自分たちのグループで「高品質高価格で勝負する企業」とテーマを決めました。そこで私が提案したのが「伝統工芸」だったのです。

なぜ伝統工芸が浮かんだのかというと、母方の実家は「樽冨かまた」という秋田県能代市で170年以上「伝統的工芸品 秋田杉桶樽」を作る工房で、祖父は黄綬褒章を受章した現代の名工だったからです。しかし、当時の私は本当の意味で伝統工芸産業について何も知りませんでした。フィールドワークでは、伝統的工芸品産業振興協会にインタビューをさせていただきました。そこであるデータを見せてもらったのです。

出典: :経済産業省製造産業局『伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の施策について』、平成23年

これを見たときは本当にショックでした。そして、実家の工房も例外ではありませんでした。祖父が作ったおひつのご飯を食べて育った私は、伝統工芸品の用の美や魅力は知っていましたが、ここで初めて"現状"を知ったのです。

なぜ、魅力ある伝統工芸が急激に衰退しているのか納得できなかった私は、職人、お客様50人以上に話を聞き、調査しました。すると、原材料の不足、後継者問題、生活様式の変化など、まとめてしまえば単純に聞こえてしまうかもしれませんが、職人方から直接話を聞くと、深刻で複雑な課題が山積みでした。「伝統」と付くものには「保全」というワードが浮かびがちです。しかし、伝統工芸も結局は商売、ビジネス。使い手から求めるものを作らなければいけません。個人的には好きな考え方ですが、「いいモノを作れば売れる」という昔ながらの職人の考えは通用しなくなってきました。「時代に合ったものづくりで受け継いでいく」。変化を恐れずに伝統と向き合ってきた祖父の言葉です。これの実現に必要なのは、消費者ニーズを捉えるためのマーケティングとライフスタイルを形成するデザインだと思いました。すぐ行動しなければと思いましたが、大きな壁にぶち当たります。経済学部生の私にはデザインなんて何もわかりません。

もがき苦しんでいるところに北欧デザインが目に留まりました。世界中で受け入れられ、様々なライフスタイルにフィットする。調べてみると、「機能美」「自然からの曲線美」「洗練されたフォルム」など、日本の伝統工芸と共有するところが多いことがわかりました。

アールヌーヴォー(19世紀末から20世紀初めにフランスを中心に欧州で流行した芸術様式)ではジャポニスム(浮世絵、琳派、工芸品等の日本美術)というアイデアが西洋美術に影響を与えました。であれば逆に、「西洋、北欧のデザインが日本の伝統工芸にヒントを与えてくれるかもしれない!」と思ったのです。北欧デザインは冬場、太陽が上がらないという環境で家の中での生活を豊かにできるように生まれたもの。北欧デザインの本場スウェーデンに身を置き、環境を感じながらデザインを学ぶしかない!と思いました。

トビタテ生としてスウェーデンに降り立ち、留学生活をスタートさせました。リンショーピン大学でマーケティングの講義を受けながらインタビュー活動をするつもりでしたが、慣れない環境で講義を受けながら実践活動をするのは簡単ではありませんでした。最初の実践活動は留学開始から1カ月後のことでした。

フランス?パリで日本酒と工芸品をアピールするテストマーケティングに参加しました。実家で作っている工芸品を実際に手に取っていただき、様々なご意見、価値観を得ることができました。ここで得たものは、外国においてどのような商品が受け入れられるかということに留まりません。外国人の方からすれば「伝統工芸って何? 秋田杉って何?」と、日本人であればイメージできることもわからないため、工芸品そのものの商品力を測ることができました。

パリでのテストマーケティングに参加したのときの写真

その後、スウェーデンでのインタビューに取り組もうとしましたが、これも一筋縄ではいきませんでした。インタビューするにあたってアポ取りをしなくてはいけませんが、メールや電話で相手にしていただけた件数はゼロ。英語も流暢に話せない得体のしれない日本人がいきなりインタビューさせてくれと言ってきても門前払いです。正直へこみましたし、初っ端からモチベーションも下がってしまいました。しかし、足を動かさなければ何も得られずに終わってしまうと思ったので、飛び込みでお話を聞かせてもらうことにしました。実際にお会いしてお話をさせていただくと快くインタビューに答えていただき、充実した調査をすることができました。

伝統工芸と共通点の多い北欧デザインを肌で感じて気付いた違いは「調和と主張」のバランスです。北欧デザインは様々な生活様式と調和しながら、色やフォルムによって存在感を放ちます。機能性を持たせながらもユーザーの利用シーンを入念に検討し、遊び心のあるデザインで明るい空間を演出するのが特徴だと感じました。

昨今ではデザイン家電に見られるように、プロダクト一つひとつの存在感が目立ちます。そのなかでも埋もれてしまわない伝統工芸品を作りたいと思い、人生初のデザインに取り組みました。スウェーデンから何件もデザイン案を送り、実家の職人さんに協力して頂いて試作を繰り返し、商品化と第37回秋田県特産品開発コンクールにて奨励賞を受賞することができました。一連の活動、留学を通して「まず自ら動く」ということの大切さを実感しました。今の原動力となっているショックも初めて行ったフィールドワークで得たものであり、自分の目と耳で感じることは足を動かすことから始まります。そして、自ら動き出せば、周りが変わってくるということも感じました。

私の場合は家族が変わりました。留学前、後を継ぐはずだった叔父がなくなり、祖父も年を取り、工房の経営は火の車。工房の存亡は私の両親の判断に委ねられました。両親は一切工房に関与したことがなく、廃業させるつもりでした。しかし、私が伝統工芸に対して課題意識を持ち、留学を決意したことで、父は秋田に身を置き工房を手伝い、母は自分の仕事に加え地方営業、兄は直販サイトの立ち上げなど、家族?職人一丸となって170年の歴史?技術を絶やさないよう頑張っています。

海外版福笑いに友達と挑戦した時の写真

「GT生」として留学する理由、意義とは何だと考えるか

バラバラな考えを持ったGT生の一人として留学するということに意義があるのかなと思います。このプログラムは何か専門分野を絞ったものではないから、それぞれが自分のやりたいこと、成し遂げたいことに向かっていく。バラバラなところでバラバラのことを学んで帰ってきたみんなと話をしているときに「グローバルタレントってこういうことだよな」と感じますね。

「GT生でよかった」と感じたエピソード

常々GT生でよかったなと思っていますが、最初に思ったのは留学に向けての準備期間。留学の準備や勉強は長期戦になるから一人でモチベーションを保つのはなかなか大変だと思うんだけど、同じ境遇で強い意志を持ったGT生たちがいたおかげでしっかり向き合い続けることが出来ました。

後輩へのメッセージ

私はGTPに参加するだけで成長できるとは思っていません。GTPは意欲ある学生に対してはたくさんの「機会」を与えてくれます。その機会を逃さず、自らの足を動かし続けた人はこれからのグローバル社会で活躍する素養と自信を手に入れることが出来ると思います。あなたがこれから過ごす大学4年間は思っているよりずっと短いです。どんな環境に身を置くかという選択肢の1つにグローバルタレントプログラムを考えてみてください。